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■病理診断科

病理診断科とは

平成20年3月、”病理診断科”は新しい標榜診療科として認められ、“病理診断”が医行為として医療法で定義されました。病理診断科の主な業務は

1)病巣部から剥離した細胞や吸引採取した細胞を染色後に顕微鏡下に形態異常等を判断し診断する細胞学的診断(図1-a)

2)ほぼ全診療科から診断確定のため生体から採取された組織(生検材料)や外科的手術などで採取された組織(手術材料)の肉眼的診断および顕微鏡等を用いた病理組織学的診断(図1-b)

3)外科的手術中に採取された組織を即座に凍結標本作製し短時間で診断する術中迅速診断

4)ご遺族の承諾のもとに病気で亡くなられた患者さんの剖検および病理解剖診断 から構成されます。

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質のよい治療および安心した治療を患者さんに提供するため、“病理診断”から病巣の①性状(腫瘍性か反応性か腫瘍であれば良・悪性やその悪性度および進行度の判定)の把握、②治療方針の決定、③治療の評価:腫瘍残存の可能性など、④治療効果の判定、⑤予後などの判断を行います(図2)。

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当院の病理診断科

採取された細胞や組織は通常、パパニコロー染色やヘマトキシリン・エオジン染色など施行後に顕微鏡を用いた検索後に病理診断が下されます。また通常の染色で診断が困難な症例においては免疫染色など特殊な手法を用いて病理診断が行われます。染色の良否は病理診断に重要な影響を与えますが、当院では通常の染色と免疫染色には自動染色装置が導入されており安定した標本作製がなされています。

A.細胞学的診断(細胞診)

A-1.婦人科領域(図3)

病的帯下や不正出血など婦人科症状を呈する患者さんの膣、子宮頸部や子宮内膜から細胞を剥離採取しパパニコロー染色を施して顕微鏡下に少なくとも2人の細胞検査士がスクリーニング(ダブルチェック)後に細胞専門医が確定診断し臨床に報告します。

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A-2.婦人科領域以外

血尿や呼吸器症状(血痰や咳など)の患者さんの尿中や喀痰中などから剥離した細胞を採取し、細胞をパパニコロー染色やギムザ染色で染めたのち婦人科領域と同様の過程を経て細胞学的診断を臨床に報告します。また乳腺や甲状腺など剥離細胞が容易に得難い臓器では針を用い直接患部より穿刺吸引をすることにより細胞を採取し同様の過程を経て細胞学的診断を報告します(図5-a)。

細胞学的診断は採取時に比較的苦痛を伴わず、外科病理組織診断に比べ容易に細胞が採取され、患者さんへの負担も軽く頻繁に行われる診断法です。

現在、当院では日本臨床細胞学会認定の細胞検査士3名がスクリーニングを行っています。平成19年度の細胞診断件数の約42%が婦人科領域の細胞診で占められており約6%が悪性ないし悪性疑いの結果でした。尿細胞診は全体の9%で悪性ないし悪性疑いは8%でした。尿細胞診で疑陽性例が多くみられるのは尿中の細胞が変化を受けやすいことによる結果と考えられます。

B.外科病理診断

B-1.生検診断

細胞学的診断のように細胞形態のみから得られる情報には自ずと限界があり、診断確定のため患部の組織を直接切除などにより採取します。採取された組織は病理専門医が確定診断に必要な切り出しを行い、ヘマトキシリン・エオジン染色後に顕微鏡下に確定診断し報告します。確定診断が困難な症例では診断に必要な特殊染色や免疫染色を暫時追加して確定診断します。

腫瘍マーカーである前立腺特異抗原(prostatic specific antigen:PSA)の血液中高値の患者さんでは診断目的のため前立腺の針生検が施行されます。採取された組織の病理診断に基づき治療方針が決定されます(図4)。平成19年度の前立腺の針生検件数は126例で57例(約45%)が癌と診断されています。

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B-2.手術的摘出臓器診断

手術検体の切り出しは①患部の性格:腫瘍性病変か反応性ないし炎症性病変か。また腫瘍であれば悪性度など、②病期(進行度)の決定:病変の広がりなど、③腫瘍であれば残存の有無など手術の適正性や今後の治療方針などを把握するために重要な作業で病理医自らが行います。切り出された組織は基本的にはヘマトキシリン・エオジン染色を施し顕微鏡下に病理診断します。病理診断が困難な症例では補助的診断として免疫染色や電子顕微鏡的検索を加え確定診断をします。

乳腺腫瘍に関してはホルモン療法適応を決めるため全症例でホルモン受容体の判定を免疫組織学的方法で行っています。ホルモン受容体陽性例はホルモン療法の治療対象となるなど治療適応が決定されます(図5)。

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C.術中迅速診断

術式を決定する重要な業務のひとつとして、手術中に患部の組織を採取し短時間内に標本を作製し、良悪性の診断や悪性細胞残存の可能性の有無を診断します。採取した組織を瞬時に凍結し標本作製による人工産物が生じる場合が多く標本作製や診断には細心の注意が必要となります。術中迅速診断の結果により例えば悪性腫瘍では拡大手術など治療方針が決定されます(図6)。

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平成19年度の卵巣腫瘍は146症例で106症例(約73%)に凍結診断が施行されました。悪性卵巣腫瘍は16例(約15%)で拡大手術や化学療法などが追加されました。

D.剖検

ご遺族の承諾のもとに不幸にして病気で亡くなられた患者さんの剖検から肉眼的診断および病理組織学的診断をおこないます。剖検から生前の診断、進行度、治療の適正、治療効果などを判断し、死因などを含めた貴重な情報が得られます。

現在、当院では病理医1名、細胞専門医3名、細胞検査士3名で病理業務をこなしています。提出された検体は迅速適切な処理、精度の高い細胞学的、病理組織学的診断を目指し努力しています。

スタッフ

氏名 所属学会・認定
井 関 充 及
(病理診断科部長)
日本病理学会評議員・認定病理医
病理専門医研修指導医
日本臨床細胞学会評議員・細胞診専門医
日本神経病理学会評議員
国際アカデミー病理学会
アメリカ・カナダ病理学会
木 寺 義 郎
(病院院長、婦人科)
日本臨床細胞学会細胞診専門医
鶴 地 伸 宏
(婦人科部長)
日本臨床細胞学会細胞診専門医
林   洋 子
(長崎大学第1病理)
日本病理学会
川 崎 辰 彦
(臨床検査技師)
日本臨床細胞学会細胞検査士
国際細胞検査士
田 中 義 成
(臨床検査技師)
日本臨床細胞学会細胞検査士
国際細胞検査士
久 保   綾
(臨床検査技師)
日本臨床細胞学会細胞検査士
国際細胞検査士

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