三叉神経・自律神経性頭痛(TAC)、一次性穿刺様頭痛、高山性頭痛、1年を経過しての4項目を新規に加え、 当院のデータを更新しました。
2009年5月から佐世保共済病院で、頭痛外来を開設しました。頭痛外来は、頭痛に悩まされている患者様の為に設けられた窓口です。
患者様の症状に対して、診察し、加療を行います。必要に応じて検査を行います。
佐世保共済病院では、CTやMRなどの精密な検査を受ける事もできます。頭痛に悩みを持たれている方は一度、頭痛外来を受診してみてはいかがでしょうか。
頭痛外来を受診される方には、頭痛問診表を記入していただき、診察の前に、患者様の頭痛について把握させていただきます。
診察を行い、症状に応じて、CTやMRなど検査を行います。
その後、頭痛のタイプに応じて、適切な加療を進めていきます。
また、頭痛ダイアリーを用意し、患者様御自身に頭痛について記載していただき、頭痛の頻度、性状、痛みの程度、持続時間、生活への支障、誘引、薬の効果などを知ることにより、適切な治療に役立てていきます。
佐世保共済病院脳神経外科の頭痛外来では、ホームページ上で、代表的な頭痛: 片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛、後頭神経痛などについて説明しています。ご参照ください。

頭痛外来の診療は、予約制です。
火曜日の午前10時から午後0時30分までで、原則として、新患患者様の診察を行います。再診は、脳神経外科の一般外来で行います。
また、午前中に受診できない患者様のため、水曜日の午後2時から午後4時まで完全予約制で診察を行います(平成22年2月から)。
尚、脳神経外科の一般外来でも、これまで同様、頭痛診療を続けています。
佐世保共済病院で頭痛外来を開設し、一年近くが経過しました。
脳神経外科外来でみる頭痛と頭痛外来でみる頭痛との線引きは難しいことです。周囲の人に脳卒中や脳腫瘍の方がいて心配で検査を希望している患者様は、脳神経外科外来で検査を受けるほうがよいと思います。一方、片頭痛や群発頭痛などで、頭痛の治療をしたい患者様は、頭痛外来を受診していただいたほうがよいと思います。
その他に、この一年間に感じたこと・気がついたことや当院の特徴を以下に述べます。

当院でのデータを更新します。データは全てパーセントで表示しています。(2010年2月末現在)



頭痛にも様々なタイプがあります。
現行の国際頭痛分類第二版(ICHD Ⅱ)では、頭痛は一次性頭痛と二次性頭痛に分けられます。
一次性頭痛と二次性頭痛とは、一体どのような頭痛でしょうか。難しい診断基準はありますが、簡単に言うと、二次性頭痛は、何かしらの疾患に伴った頭痛です。一次性頭痛とは、そのような疾患に伴わない頭痛です。
例えば、風邪をひいたときの頭痛は、二次性頭痛です。今まで経験したことのないハンマーで殴られたような突然の頭痛と表現されるくも膜下出血の時の頭痛も、二次性頭痛です。
体や脳に、頭痛の原因となる疾患がなく、何かの原因で、慢性的に繰り返し頭痛が起こるタイプです。
頭痛外来を受診される患者様の多くが、この一次性頭痛に含まれます。
脳血管障害や脳腫瘍、感染症など、他の疾患が原因で生じる頭痛です。
これらの一次性頭痛と二次性頭痛の他に、三叉神経痛などに代表される顔面の痛み、大後頭神経痛に代表される頭部の神経痛が、分類されています。
坂井らの日本全国調査では、片頭痛の年間有病率は、8.4%(前兆のない片頭痛5.8%、前兆のある片頭痛2.6%)と報告されています。人口10万人の街では、一年間に8400人もの多くの方が、片頭痛に悩まされていることになります。軽い痛みの人から、寝込んでしまうほどの痛みの人がいます。
片頭痛の特徴を示します。
その他に、若年女性に多い、家族に同じような症状の人がいるなどの特徴があります。また、前兆のないタイプの片頭痛もあります。一般に前兆のある片頭痛の方のほうが、頭痛の程度は重いようです。
治療には、痛みを抑える治療と、痛みを予防する治療があります。
片頭痛の病態は、残念ながら未だ不明です。
片頭痛の発生機序として、
などが考えられてきました。
これらによる説のほかに、最近、イオンチャンネルセオリーという説も提唱されています。
ここでは、Moskowitzらが提唱したⅡの三叉神経と、脳血管周囲や硬膜血管周囲の神経原性炎症による三叉神経血管説を提示します。
佐世保市内に、九十九島の展望がひらける景色のよい弓張岳という山があります。休日に弓張岳を散策しながら、片頭痛の重症度について考えました。
片頭痛は、前兆を伴うものと伴わないものがあります。一般には、前兆を伴う片頭痛のほうが、前兆を伴わないものより重症と考えられています。
頭痛の重症度を評価するためには、HIT-6(headache impact test)やMIDAS(Migraine Disability Assessment)などを用いて評価することが多く、私達の施設では、HIT-6を利用しています。しかし、患者様の主観的なものが多く含まれます。
そこで、患者様がどのような薬を使用しているかによって、その重症度をあらわそうと考えました。
軽症の片頭痛の患者様には、鎮痛剤(普通鎮痛剤、NSAIDs)を使用し、重症の片頭痛の患者様にはトリプタン製剤を使用することが推奨されています。片頭痛の頻度が増したり、トリプタン製剤のみではコントロール不良のような場合には、片頭痛の予防薬を使用することが推奨されています。さらに、激しい痛みや吐気のため、トリプタン製剤などを内服できない場合には、イミグランの注射剤が使用されます。これらを下記のようにグループ化しました。
●片頭痛の重症度
グループ1 鎮痛剤(普通鎮痛剤、複合鎮痛剤、NSAIDs)で加療。
(鎮痛剤を使用しない場合もこのグループとします)
グループ2 鎮痛剤(普通鎮痛剤、複合鎮痛剤、NSAIDs)と予防薬で加療。
グループ3 トリプタン内服で加療。
グループ4 トリプタン内服と予防薬で加療。
グループ5 イミグラン注で加療。

結果は、上記のように、トリプタン製剤を使用しないグループ(グループ1、 2)が48%を占めました。一方、トリプタン製剤の内服が必要な患者様は47%で、イミグラン注射薬を必要とした患者様は5%でした。(2月末現在のデータです。)
片頭痛の予防には、日常生活で注意できることと投薬による予防療法があります。
片頭痛の誘発因子には、食事(赤ワイン、チョコレート、チーズなど)、月経、天候、人ごみのなか、ストレス、精神的緊張、逆に精神的緊張がとれたとき、睡眠不足、寝すぎ、疲れ、温度差、頻回の旅行などさまざまなものがあげられています。これらは、患者様にとって各々異なります。誘発因子がはっきりしている場合は、これを避けることが賢明です。
片頭痛の発作が起きたときは、額やこめかみを冷やすことが効果的です。その理由は、冷やすことによって拡がった血管が縮み、痛みを抑えるからと考えられています。
一般に、お風呂やシャワーなどは、体が温まり血管が拡がり、片頭痛が増悪するといわれています。光に過敏になる人は、暗いところにはいったり、カーテンをしめたり、赤茶系のサングラスやアイマスクが有効とされています。また音に過敏になる人は、静かなところにいくか雑音をさえぎるため耳栓などが有効とされています。
食事ではマグネシウムやビタミンB2がよいとされています。
どのような患者様が予防療法を必要とするのでしょうか。
慢性頭痛の診療ガイドラインでは、片頭痛が月に二回以上ある患者では予防治療について検討してみることがすすめられています。
そのほかに
に予防療法がすすめられています。
私たちの施設では、片頭痛発作が頻回となる患者様や頭痛の程度が重度の患者様、トリプタン製剤や鎮痛剤の内服が頻回となる患者様を対象に予防療法を行っています。
実際に、予防療法にはどのような薬剤があるのでしょうか。()内は商品名です。
月に二回以上の発作がある片頭痛患者に対して、10mg/day投与すると、8週間後には、64%の患者で片頭痛発作の頻度、程度が軽減したとの報告があります。保険適応があり使用しやすい薬剤です。
月に二回以上の発作がある片頭痛患者に対して、日本では500-600mg/日が推奨されています。
この薬剤は抗てんかん剤ですが、片頭痛予防に効果があります。
副作用:眠気、倦怠感
低用量(10-20mg/day 就寝前)から開始します。
この薬剤は抗うつ剤ですが、片頭痛予防に効果があります。うつの病態に使用する薬剤の量よりも、かなり少量で効果があります。
副作用:眠気、口渇
この薬剤は心臓のお薬ですが、片頭痛予防に効果があります。高血圧や冠動脈疾患合併患者にも使用できます。日本では20-60mg/日が推奨されています。
副作用:徐脈
この薬剤は抗てんかん剤ですが、片頭痛予防に効果があり、最近注目されています。
日本では、片頭痛に適応はありませんが、アメリカ・フランス・スイス・オーストラリアなど世界50ケ国で広く使用されています。
副作用:四肢のしびれ、疲労感、食欲不振、悪心、体重減少
リシノプリル(ロンゲス)、カルデサルタン(ブロプレス)、エナラプリル(レニベース)が有効とされています。
いずれも高血圧のお薬で、片頭痛の予防に効果があると考えられています。
上記6系統の薬剤で保険適応があるのは、①の塩酸ロメリジン(テラナス・ミグシス)です。私たちの施設では、片頭痛予防の第一選択にこの薬剤を使用しています。それ以外の薬剤は、てんかん、高血圧・心疾患、うつなどに適応のある薬剤です。これらの薬剤の使用にあたっては、十分な注意が必要です。
頭痛外来や慢性頭痛の治療目的で、当科を受診される女性が多いことに驚かされました。また、慢性頭痛の治療目的で来院された患者様のうち、実に59%の患者様が片頭痛でした(2009年10月末時点)。
女性の頭痛には、女性ホルモンが大きく関与しているといわれています。片頭痛は、20代から40代の女性に好発します。特にエストロゲンの変動が、頭痛に関係しています。エストロゲンが減少すると、頭蓋内の血管が拡張し、片頭痛が生じやすいといわれています。
月経周期の中で、エストロゲンが減少するのは、月経初日や排卵日で、この時期に片頭痛が生じることが多いことも知られています。月経前―月経中に起こる片頭痛は、他の時期におこる発作に比べ、持続時間が長い、痛みが強い、再燃しやすいなどの特徴があり、市販の鎮痛剤があまり効かないことも多いようです。2008年8月には、副作用が少なく、月経時の片頭痛にも、効果が持続しやすいジェントルトリプタンとよばれる製剤も発売されています。
女性の片頭痛には、月経に関係する片頭痛があります。女性ホルモンが大きく関与し、特にエストロゲンが減少すると、頭蓋内の血管が拡張し、片頭痛が生じやすいと考えられています。月経周期の中で、エストロゲンが減少するのは、月経初日や排卵日で、この時期に片頭痛が生じやすいといわれています。月経前から月経中に起こる片頭痛は、他の時期におこる発作に比べ、持続時間が長い、痛みが強い、再燃しやすい、ほとんどの場合に前兆がないなどの特徴があり、市販の鎮痛剤があまり効かないことが多いといわれています。
ICHD- Ⅱでは、前兆のない片頭痛を A1.1 として付録として扱っています。
そこでは、前兆のない片頭痛をさらに以下のように分類しています。
A1.1.1 前兆のない純粋月経時片頭痛
A1.1.2 前兆のない月経関連片頭痛
A1.1.3 前兆のない非月経時片頭痛
A1.1.1 前兆のない純粋月経時片頭痛は、発作は月経開始日( Day 1 ) ±2 日(すなわち月経開始2日前から月経3日目まで)のみに生じ、月経3周期中2周期以上で認め、その他の時期には認めないものです。
A1.1.2 前兆のない月経関連片頭痛は A1.1.1 で定義した時期に加え、その他の時期にも発作を認めるものです。
月経と片頭痛の関連をみるためには、少なくとも月経3周期が必要とされています。
純粋月経時片頭痛は、月経関連片頭痛よりもかなり少ないといわれています。つまり、月経時の頭痛に加え、月経時以外の時期にも頭痛発作を訴える患者様が多くを占めます。
妊娠中はエストロゲンが高濃度に維持されます。このことにより、妊娠後期には約70%の方が、片頭痛発作が軽減します。
しかし、妊娠中に、片頭痛治療薬が必要な患者様もいます。一般的には、妊娠中に片頭痛治療薬が必要な場合には、第一選択はアセトアミノフェノンとされています。しかし、効果がない場合、トリプタン製剤が使用することができます。妊婦または妊娠している可能性のある女性に、トリプタン製剤は、治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ投与すると薬剤添付文書に記載されています。その場合にも十分な説明が必要です。
妊娠中の片頭痛の予防薬には、βブロッカー(プロプラノロール)が使用されます。
注意事項:リザトリプタンとプロプラノロールの併用は禁忌です。
最近、片頭痛を訴えられる授乳期の患者様が続けて来院されました。
妊娠中はエストロゲンが高濃度に維持されることにより、約80%の方が、片頭痛発作が軽減しますが、出産後はエストロゲン濃度の低下に伴って、再び片頭痛発作が起こるようになるといわれています。半数以上の方が、出産第1週で片頭痛を再発すると報告されています。 この頃は、授乳期に当たります。片頭痛治療薬の服用と授乳については、注意が必要です。
●消炎鎮痛剤
日本の薬剤添付文書上、授乳中の投与に制限がない消炎鎮痛剤としてはアセトアミノフェンがあります。AAPガイドライン(アメリカ)では、アセトアミノフェン・イブプロフェン・メフェナム酸・ナプロキセンが投与可能(日本の添付文書ではアセトアミノフェン以外は投与時授乳不可)とされています。従って第一選択薬はアセトアミノフェンと考えられます。
●トリプタン製剤
日本の薬剤添付文書では、スマトリプタン(イミグラン)以外の全てのトリプタン製剤は、投与時は授乳を避けることとなっています。スマトリプタン(イミグラン)のみ2005年9月の添付文書改訂以降12時間授乳を中止することになりました。AAPのガイドラインでは、唯一、授乳時の投与が容認されるトリプタン製剤としてリストアップされています。日本頭痛学会の慢性頭痛の診療学会のガイドラインでは、トリプタン製剤を使用した場合には、使用して24時間経過した後に授乳させるとあります。先に述べた理由で、授乳中にトリプタン製剤を使う場合は、スマトリプタンが最も無難な選択で、スマトリプタンを内服した場合には、内服後12時間授乳を避ければほぼ問題ないと考えられます。
アロディニアは、異痛症と訳されます。皮膚の違和感のことです。
脊髄損傷などの後遺症で、冷たい刺激でピリピリと痛んだり、触れる刺激でピリピリ痛んだりするのは、アロディニアです。
片頭痛や群発頭痛の時にもアロディニアが認められ、最近、片頭痛の発作中にみられるアロディニアが注目されています。
片頭痛発作の初期には、前頭部から前額部に違和感が生じます。これは、髪の毛がピリピリするとか、眼鏡やコンタクトレンズが不快に感じるとかで表現されます。片頭痛発作がさらに進行すると上肢を中心に違和感が出現します。
当院でのデータでは、片頭痛の患者様の48%にアロディニアがみられました。
どうしてアロディニアが出現するのでしょうか。三叉神経が末梢性に感作され、次に三叉神経尾側核が中枢性に感作されると頭部・顔面のアロディニアが生じ、さらに視床まで中枢性に感作されると上肢(頭蓋外)のアロディニアが生じるといわれています。この事は重要です。トリプタン製剤を内服する場合は、頭蓋外のアロディニアが生じる前に内服するほうがよいと考えられています。
(感作:感覚神経の感受性が高まって、刺激に対する反応性がますこと。)
→【閑話休題 感作】へ
緊張型頭痛は、いろいろな調査で生涯有病率が30-78%と報告され、最も多い頭痛です。しかし、頭痛の程度が軽度から中等度であることが多く、実際に頭痛外来を受診される方は、片頭痛の方ほど多くありません。
ここで、現行の国際頭痛分類第二版(ICHD Ⅱ)による緊張型頭痛の診断基準(一部省略)を示します。
●頻度
この診断基準でわかるように、緊張型頭痛は、両側性の締め付けられるような軽度から中等度の頭痛で、片頭痛や群発頭痛のような特徴的な頭痛ではありません。一般に、筋肉の緊張を原因とするもの、いろいろなストレスからくるもの、片頭痛から移行するものなどさまざまの頭痛が含まれています。
これまでの経験から作成した、症例のイメージを示します。
●50代 男性
数年前から、週に3-4日程度、後頭部から後頚部にかけて重い感じ、圧迫されるような痛みがある。気分転換に頭を回したりすると比較的楽になる。重い圧迫されたような軽度の頭痛は、デスクワークが主体となる午前中に多い。ストレスが加わるとその痛みは若干強くなるが、鎮痛剤を服用するほどではなく、湿布や経皮吸収型消炎鎮痛剤(スミルスチィック)で効果があり、デスクワークが終わると午後からは殆んど痛みはなく、仕事が終わると全く痛みは感じない。
9月上旬に、群発頭痛の患者様が、一日に初診の方が二人みえました。群発頭痛は、片頭痛よりも少なく、男性に多い疾患です。群発頭痛とは、一体どういう頭痛でしょうか。
上記のように、症状は比較的特徴的です。
1年に1度か2度、1ヵ月程度、毎日1-2時間程度(同じ時間帯が多い)、激痛発作が一側に襲ってくる、そのような頭痛です。一般の医師には、なじみがうすいのですが、ネットで自己診断ができてしまうような頭痛です。
治療には、疼痛発作の時期に痛みを抑える治療と、群発の時期に痛みがこないように予防する治療があります。
群発頭痛は、1年に数度、1ヵ月程度、毎日1-2時間程度(同じ時間帯が多い)、激痛発作が一側に襲ってくる、そのような頭痛です。
治療には、発作時の激痛を抑える治療と、群発の時期に激痛がこないように予防する治療があります。
●群発頭痛急性期(発作期)の治療
●群発頭痛の予防
当院では、予防治療に、主にワソランを使用しています。その際には、心電図、心エコーなどで、
循環器疾患がないことを確認させていただきます。
これまでは、スマトリプタンの注射治療は病院でしかできませんでした。
2008年にスマトリプタン自己注射剤が使用可能となり、群発頭痛やこれまでの治療で十分な効果が得られなかった片頭痛などの患者様に対して、在宅で自己治療が可能となりました。
この事は、夜間や休日のため、仕事や急用のために病院に通院できない患者様に福音となりました。
私達の施設では、上記のような患者様に対してスマトリプタン自己注射剤で治療しています。使用方法は、十分に注意する必要があります。
私達の施設では、スマトリプタン自己注射剤の使用にあたっては下記を厳守しています。

三叉神経・自律神経性頭痛(TAC)は、持続時間の短い一側性の頭痛で、結膜充血・流涙・鼻閉・鼻漏・発汗などの自律神経症状を伴う頭痛です。これには、群発頭痛、発作性片側頭痛、短時間持続性片側神経痛様頭痛発作(SUNCT)が含まれます。これら三疾患を鑑別することは容易ではありません。鑑別は、下記の表を参考にしてください。典型的なものでは、群発頭痛は、1日に1~2回の発作があり、発作時間も一番長く、発作性頭痛は、1日に10回程度の頭痛発作、短時間持続性片側神経痛様頭痛発作(SUNCT)は1日に50回の頭痛発作があり、発作時間は一番短いという特徴があります。各々の治療方法が異なるため、これらの疾患を識別はとても大切です。
発作性片側頭痛の診断基準(ICHD-Ⅱ)を示します。
SUNCTの診断基準(ICHD-Ⅱ)を示します。
SUNAの診断基準(ICHD-Ⅱ)を示します。
その他によく似た頭痛に、三叉神経痛や一次性穿刺様頭痛があります。これらは各々を参照ください。
(→三叉神経痛へ)(→一次性穿刺様頭痛へ)
一次性穿刺様頭痛は、上記のような自律神経の症状がなく、痛みの持続時間が数秒と短いのが特徴です。
Goadsbyらが報告したTAC三疾患の比較について表示します。
(一部、頭痛診療ハンドブック 鈴木則宏教授編集 中外医学社を参照しています)
三叉神経・自律神経性頭痛(TAC)三疾患の比較
| 群発頭痛 | 発作性片側頭痛 | SUNCT / SUNA | |
| 男性:女性 | 3:1 | 1:1 | 3:2 |
| 頭痛 | |||
| 性状 | 鋭い/刺すような/拍動性の | ||
| 重症度 | 非常に重症 | 重症 | |
| 分布 | 三叉神経第1枝>第2脊髄神経>三叉神経第2枝>三叉神経第3枝 | ||
| 頭痛発作 | |||
| 頭痛回数(回/日) | 1-8回/日 | 20回/日 | 100回/日 |
| 持続時間(分) | 30-180分 | 2-30分 | 1-5分 |
| 誘因 | |||
| 飲酒 | +++ | + | - |
| ニトログリセリン | +++ | + | - |
| 皮膚への刺激 | - | - | +++ |
| 興奮/落ち着きがない(%) | 90% | 80% | 65% |
| 発作:慢性 | 90:10 | 35:65 | 10:90 |
| 周期性 | あり | なし | なし |
| 治療効果 | |||
| 酸素 | 70% | 効果なし | 効果なし |
| スマトリプタン皮下注 | 90% | 20% | 10%以下 |
| インドメサシン | 効果なし | 100% | 効果なし |
| 発作時の片頭痛兆候 | |||
| 嘔気 | 50% | 40% | 25% |
| 光過敏/音過敏 | 65% | 65% | 25% |
片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛以外の一次性頭痛には、どのようなものがあるでしょうか。
現行の国際頭痛分類第二版(ICHD Ⅱ)では、一次性穿刺様頭痛、一次性咳嗽性頭痛、一次性労作性頭痛、性行為に伴う一次性頭痛、睡眠頭痛、一次性雷鳴頭痛、持続性片側頭痛、新規発症持続性連日性頭痛の8個の頭痛が記載されています。各々の頭痛は、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛に比較すると稀です。ここでは、各々を簡単に紹介します。
三叉神経の第1枝領域(眼窩、側頭部、および頭頂部)に、穿刺様頭痛が出現し、持続時間は数秒以内、不規則な頻度(1日あたり1回から多数)で、単発あるいは再発するといわれています。
患者様の訴えでは、額-眼窩部にちくちく刺すような痛みが、秒の単位で、何回も繰り返し起こす痛みです。(→一次性穿刺様頭痛へ)
咳や息みによって誘発され、突発性に起こり、1秒~30分間持続するする痛みといわれています。
身体的な労作中または労作後にのみ誘発されて起こり、5分~48時間持続する拍動性頭痛の頭痛といわれています。重量挙げ選手にみられるといわれています。
性行為中に生じる頭痛です。
睡眠中にのみ起こり、 1ヶ月あたり 15回を越えて起こり、覚醒後 15分以上持続するといわれています。初発年齢は 50歳以上とされています。
突然に出現し、1分未満で痛みの強さがピークに達するといわれています。他の二次性頭痛によるものとの鑑別が重要です。
痛みは、片側性で、反対側に移動しない。 毎日連続してみられ、痛みが消失する時期がありません。
程度は中等度であるが、増悪して重度の痛みとなることがある、などの特徴を有し、これが3ヶ月を超えて持続するといわれています。 また、頭痛増悪時、頭痛側に自律神経症状(結膜充血流涙、鼻閉、鼻漏、眼瞼下垂、縮瞳など)がみられます。
頭痛が、発症時または発症後、3日未満から寛解することなく、連日みられ、3ヶ月以上持続します。頭痛は、両側性、圧迫感または締めつけ感(非拍動性)、程度は軽度~中等度などの特徴を有します。
薬物乱用頭痛(MOH: medication-overuse headache)は、これまで反跳性頭痛、薬物誘発頭痛などと呼ばれてきました。
薬物乱用頭痛は、過剰に使用された治療薬と感受性のある患者様の間の相互作用です。頭痛になりやすい方で、頭痛のお薬を乱用することで頭痛が引き起こされることを言います。わかりやすく言い換えると、頭痛薬を使い過ぎるために、頭痛が起きたり、さらに悪化したりすることです。その頭痛薬には、市販の鎮痛剤、病院でもらう鎮痛剤、エルゴタミン製剤、トリプタン製剤などがあります。
ここで、現行の国際頭痛分類第二版(ICHD Ⅱ)による薬物乱用頭痛の改訂診断基準を示します。
付録:A8.2薬物乱用頭痛の診断基準
上記のように、薬物乱用頭痛の診断にも難渋し、上記の薬物乱用と薬物乱用頭痛との鑑別も困難です。日常の診療で、市販の鎮痛剤や鎮痛成分の入った総合感冒薬を頭痛の治療に自己療法で乱用されている患者様にも遭遇することがあります。
最も問題となるのは、この薬物乱用頭痛は、治療が困難なことです。
私達は、患者様がこの頭痛にならないように、日頃から上記の薬物の使用頻度を1ヶ月に10日以下になるようにお話しています。
慢性連日性頭痛は、Silbersteinらにより提唱されました。1日に4時間以上の頭痛が1ヶ月に15日以上続く頭痛とされています。いろいろな考え方がありますが、3ヶ月以上続くものとされています。
次の4型に分類されています。
当院では、慢性緊張型頭痛や薬物乱用頭痛の患者様が、慢性連日性頭痛のほとんどを占めます。
三叉神経痛は、現行の国際頭痛分類第二版(ICHD Ⅱ)では、一次性頭痛、二次性頭痛に加え、[第三の項目:頭部神経痛、中枢性・一次性顔面痛およびその他の頭痛]に組み込まれています。
佐世保共済病院の特徴の一つは、総合病院として主たる診療科の他に、麻酔科、耳鼻科、眼科、皮膚科・歯科などが充実していることです。三叉神経痛は、初診で私達が診察することもありますが、当院の歯科医師が、近隣の歯科医院より紹介を受け、三叉神経痛と診断し、当科を紹介するケースが多くあります。
私達が考えている三叉神経痛の特徴を示します。
私達は、これら6項目全ての特徴を有するものを典型的三叉神経痛分類し、そうではないものを、非典型的三叉神経痛に分類しています。
三叉神経痛の約10%が脳腫瘍によるものと考えられています。そのために、三叉神経痛の患者様には、脳MRIを用いた脳及び三叉神経の詳しい検査をおすすめしています。
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| 通常のMRIです。 | 三叉神経に焦点をあてたMRIです。 三叉神経が明瞭に描出されています。 |
三叉神経痛に対しては、薬剤加療、手術治療、放射線治療などがあります。
脳神経外科で頭痛外来を開設している特徴の一つが、神経内科とは異なり、脳・脊髄・神経を実際にみて、手術治療を行なう点があげられます。
三叉神経痛の治療には、薬剤加療、手術治療、放射線治療などがあります。三叉神経痛に対しては、ガルバマゼピン(テグレトール)を中心とした薬剤治療を第一の治療としています。しかし、薬剤治療の効果がない場合、薬剤に対してアレルギー反応などの副作用が強い場合、患者様が手術を希望される場合には、手術治療を行っています。患者様の希望や状態によって放射線治療をおすすめする場合もあります。
三叉神経痛の原因として、脳幹から三叉神経が出たところで、三叉神経が動脈により圧迫され、そのために電撃痛が生じると考えられています。手術では、顕微鏡下に、三叉神経を圧迫している動脈を移動させ、三叉神経と動脈との間にクッションを置き圧迫を解除する方法(神経血管減圧術)があります。ここでは、私達が行っている手術の方法を簡単に紹介します。
左の三叉神経痛の手術の一般的方法を図示します。
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| ①皮膚切開 小開頭 |
②三叉神経を動脈が圧迫 | ③神経血管減圧 (圧痕がみられる) |
医師になったばかりの頃、75歳男性の患者様が、この手術を受けられ、手術が無事終了し、退院される時に、「痛みが全くなくなり、人生が全くかわった」といわれたことを今でも覚えています。それ以来、この事を真摯に受け止め、この手術に取り組んでいます。
三叉神経痛の約10%が脳腫瘍によるものと考えられています。
私達は、そのために、三叉神経痛の患者様には、脳MRIで、脳及び三叉神経の詳しい検査をおすすめしています。放射線科の医師・スタッフと協力し特に三叉神経に焦点をあてた脳MRIを撮影しています。
脳腫瘍が三叉神経痛を引き起こすには、大きくわけて次の三つが考えられています。
Aのタイプが最も多く、腫瘍の種類は真珠腫ともよばれる類上皮腫が最も多く、聴神経腫瘍、髄膜腫なども原因となります。
多くの場合では、腫瘍を摘出します。小さな腫瘍の場合、ガンマナイフという放射線治療を行うこともあります。
ここでは、次の三つのケースを紹介します。
年末に、後頭神経痛の患者様が、立て続けに来院されました。後頭神経痛は、大後頭神経及び小後頭神経の支配領域に一致した発作性の突くような痛みです。
私達がよく経験する大後頭神経痛の特徴を示します。
帯状疱疹ウイルスによる頭痛:頭痛の性状は、大後頭神経痛とよく似ています。この疾患は、大後頭神経領域に痛みが出現し、数日後にその支配領域に発赤・疱疹が出現します。三叉神経領域に出現する帯状疱疹ウイルスによる顔面痛は、発赤・疱疹が見えやすいので診断は容易ですが、後頭神経領域のものは、頭髪に隠れ、見落とすことがあります。私達は、帯状疱疹ウイルスによる頭痛・顔面痛については、皮膚科医師・麻酔科医師と相談して治療しています。
くも膜下出血は、患者様の生命を脅かす疾患です。ほとんどの場合、突然の激しい頭痛と吐気・嘔吐で発症します。発症と同時に意識をなくし、心停止をきたす場合も少なくありません。
頭痛の発症形態が、突然激烈に生じるため、くも膜下出血の患者様は、救急車で救急病院を受診することがほとんどで、頭痛外来に来院することはあまりありません。
ここでは、くも膜下出血一般について述べます。
くも膜下出血の原因は、脳動脈瘤の破裂によるものが大部分を占めます。脳動脈瘤は、脳の血管の一部がふくれ風船のようになったものです。突然、破裂して、出血をひきおこします。
脳動脈瘤が破裂してくも膜下出血をおこしても、多くの場合はそこが、血の塊りで一時的にふたをされるために出血が止まり、頭痛や吐き気も日に日に軽くなって、見かけは病気が治ったようにみえることさえあります。
しかし、本当にこわいのは、再破裂です。脳動脈瘤を早く発見して、再破裂をきたさないように治療(クリッピング・塞栓術)をしなければなりません。
しかし、どんな症状の人でもすぐ治療できるとは限りません。診察と検査で治療できるかどうか決めますが、その結果、脳やからだの状態が良くなるまで待ってから治療した方がよい場合があります。
再破裂のほかにもう1つ、くも膜下出血のあとにおこるむずかしい合併症は、脳血管れん縮という病態です。これはくも膜下出血をおこした人の30%くらいにみられ、何日かたってから血管が縮んで細くなり、脳に血が通わなくなり脳梗塞を引き起こします。
この他にも、くも膜下出血のあと、かなり日がたってから10人に1人くらいの割合でおこってくる合併症に正常圧水頭症があります。これは、くも膜下出血のために脳の表面を流れる水の流れがせき止められて、脳の中に水がたまるものです。この場合は、シャント手術をすれば、ほとんどの人がよくなります。
くも膜下出血の治療は、このような病態の変化に応じて適切な治療を行っていくことが非常に大切です。