佐世保共済病院のサイトです。長崎県佐世保市中心に位置し長崎県北を診療圏とし病診連携と救急による地域貢献を目指した病院です。


 
 
 
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感作
2010/02/01

2010年1月13日佐世保も冠雪しました。その前週に所用で、JR大村線シーサイドライナーを利用し長崎に行きました。午後、佐世保駅を出発し、暖かい日差しに誘われ、ついつい眠ってしまいました。勿論、車窓の日よけは降ろしていました。大村湾に沿って景色のよいルートです。ふと、右頬(三叉神経第二枝領域)がピリピリするのに気づき眼が覚めました。日焼けです。日よけを越してきた日光が右頬にあたっていました。九州の日差しは一月でも強烈です。ハンカチで日よけを作りましたが、後の祭りです。周りの人は、うまく日を避けていたらしく、痛そうな人はいませんでした。私は長崎に着くまで、ちょっと日差しにあたると右頬がピリピリ痛く感じました。なるほど、これが日光による感作と自覚しました。
幸い、すぐに治りました。
(感作:感覚神経の感受性が高まって、刺激に対する反応性が増すこと。ここでは日光の刺激に対して反応性が増したものと考えられました。)
→【片頭痛 アロディニアへ】

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私の高山性頭痛
2010/03/01

私は、40歳を過ぎた頃、健康のため登山を始めました。当時は九州の九重山系の久住山、大船山、黒岳、中岳などに登り、ミヤマキリシマの咲く頃の平治岳、紅葉燃える大船山・御池などにいきました。前任地の北海道では、大雪山系の旭岳、トムラウシ山、白雲岳、北鎮岳に登り、最近は北アルプスに挑戦しています。

私が、登山による頭痛を始めて自覚したのは、北アルプス裏銀座の登山中です。三俣山荘で昼食をとり、鷲羽山への登りにかかったときでした。嘔気と頭痛、めまいに襲われました。その日は、朝5時に槍ヶ岳山荘を出発し、双六岳、三俣蓮華岳を経て疲れが出てきた頃です。出発から既に7時間半が過ぎ、天候も崩れ、登り坂でかなり疲れていたのかもしれません。きつい登り坂で、すこし前かがみにもなっていました。高山性頭痛と考えられました。2500mを超え、空気がうすくなり、血中の酸素濃度が少なくなったと考え、とりあえずゆっくり深呼吸を5-6回し、肺の隅々まで空気を送り込みました。すると、比較的楽になりました。気分的なものかもしれません。今は、2500m級の山で頭痛が襲ってきたときに、我流の治療方法として深呼吸を5-6回しています。深呼吸を多くしすぎると過換気症候群になってしまうので5-6回としています。高山病の第一選択薬・予防薬は、ダイモックスとされています。しかし、日本では、高山といっても3000m級ですから、日本の山での頭痛時の薬剤は、アセトアミノフェンやイブプロフェンがすすめられています。私個人にはロキソニンなどNSAIDsで効果があります。(→高山性頭痛)


盛夏 槍ヶ岳


中央:双六岳山頂から水晶岳、右が鷲羽岳(ここの登りで高山性頭痛が出現しました)。西の方から、暗雲が立ちこみ、天候が一気に崩れました。

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CGRP受容体拮抗薬
2010/04/01

片頭痛の治療はトリプタン製剤の出現により大きく変わりました。しかし、トリプタン製剤は、狭心症や心筋梗塞の既往のある患者様に禁忌とされています。また、トリプタン製剤が効果ない患者様もいます。このような場合にも、安心して使用できる薬剤の開発が望まれています。その一つが、CGRP受容体拮抗薬で、現在、欧米で開発中です。
片頭痛の出現には、CGRPが重要な働きをしているといわれています。その働きには、次に示すように二つに大別されます。

  1. 三叉神経終末からCGRPが放出され、血漿タンパクが漏出し神経性炎症を惹起し、
    血管拡張を引き起こすといわれています。(青で囲んだ部分)
  2. 中枢神経系において、痛みの伝導に重要な役割を果たすと考えられています。
    (赤で囲んだ部分)

CGRP受容体拮抗薬は、これらの働きを阻害し、片頭痛を抑えると考えられ、特に中枢神経系に働くと考えられています。現時点では、虚血性心疾患を合併した片頭痛の患者様にも使用可能と考えられています。

現在、世界で開発中の代表的なCGRP受容体拮抗薬には、オルケゲパントとテルカゲパントがあります。オルケゲパントは注射薬で、テルカゲパントは内服薬です。テルカゲパント300mg製剤は、ゾルミトリプタン5mgと同様の効果があると考えられています。
→【虚血性心疾患をもった患者様の片頭痛について】

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椎骨動脈解離の治療
2010/06/01

椎骨動脈解離の治療は、現在のような血管内治療が進歩する以前は、直達手術が行われていました。解離部の直前で閉塞する近位部閉塞や、解離の前後で離断する手術が行われていました。

現在では多くの施設が血管内治療によるコイルを用いた塞栓術を行っています。

私が脳神経外科医師となった昭和60年頃は、比較的稀な疾患と考えられおり、診断すら困難でした。私が経験した第一例目は、近位部閉塞術を行い経過良好でした。文献で解離部の色がブラックパープルを呈するとありましたが、読んでピンときませんでしたが、手術でみてなるほどと感心しました。近位部閉塞には欠点があり現在はほとんど行われていません。さて現在は、治療の主流はコイル塞栓術ですが、医学の進歩により、これから10年後にはどのように治療方法が変わっているでしょうか。

→【椎骨動脈解離】

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若い人でも慢性硬膜下血腫は生じる?
2010/06/01

慢性硬膜下血腫の手術は、多くの脳神経外科医師が執刀医となる最初の手術だと思います。比較的容易に診断できて、手術も脳神経外科の手術で最も安全にしかも短時間でできるものです。入院期間も一週間程度ですみます。

慢性硬膜下血腫は、私が脳神経外科医師になって最初の研究テーマでした。当時約270例のデータベースを作成し、慢性硬膜下血腫の病態を稀な病態も含めて、ほとんど全て網羅していました。

慢性硬膜下血腫は高齢の人に生じやすい病態です。脳と頭蓋骨の間には硬膜という硬い膜があります。高齢になって脳が萎縮すると、脳と硬膜の間に隙間ができて、外傷などを契機として、脳と硬膜の間の隙間(硬膜下腔)に血液がたまり、慢性硬膜下血腫を形成することがあります。

では、若い人では、慢性硬膜下血腫は起きないのでしょうか。40代以下の人にも生じます。私の経験では17歳の人にもおきました。40代以下の慢性硬膜下血腫の患者様には注意が必要です。思わぬ基礎疾患が潜んでいる危険性があるからです。出血性疾患の合併の危険性も考えられます。慢性硬膜下血腫の形成には、脳と硬膜の間に隙間が生じる疾患、つまり 1)くも膜嚢胞(のう胞)や 2)特発性低髄液圧症候群などを合併している危険性があります。

→【慢性硬膜下血腫と頭痛】

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アイスクリーム頭痛
2010/07/01

アイスクリーム頭痛と呼ばれる頭痛があります。これは、多くの人が経験したことがあると思います。アイスクリームなどの冷たいものを食べると、眼の奥やのどの奥から後頚部にかけて痛くなる頭痛です。そう、キーンとした痛みです。これはすぐに痛まなくなってしまうので病的ではありません。

今年は梅雨に入るのが遅かったようです、6月になっても比較的からりとした暑さです。

アイスクリーム頭痛について考えたいと思います。まず、実感するために、週末に烏帽子岳と弓張岳を登り、たっぷりと汗を流した後に、玉屋屋上の生ビールと、近くのスタバでダークモカ&オレンジフラペチーノで試してみました。

烏帽子岳を降り、夕刻より玉屋ビアガーデンに行ってみました。夕日に弓張岳が映え、風も心地よく、一杯、グイッと飲み干しました。キターッ、咽喉の奥、後頚部にキーンとした痛み、でも一瞬でした。頚を抑えるでもなく、気になるような強い痛みでもなく、でも一瞬でしたが、後頚部に痛みが走りました。もう一杯実験してみましたが、再現性はありませんでした。最初の一杯だけだったようです。

次は、弓張岳を縦走し(縦走路は下の図をご参照ください)、スタバに入り、ダークモカ&オレンジフラペチーノを頼みました。甘そうですが、縦走に耐えた体に糖分を与えるため、一口食べてみました。激しい痛みが来ました。今度は、後頚部部ではありません、両目の奥です。キーンと刺すような激しい痛みです、それも一瞬ではありません、指で眼を押さえて耐えているうちにジワーッと痛みはひいてきました。この痛みは、もう一口食べても、ありましたが、最初ほど激烈ではありません。


鵜渡越より弓張山系に入り、弓張岳、但馬岳、遠藤但馬守の碑、将冠岳、八天岳を縦走し、
横尾を経て島地町に戻りました(烏帽子岳中腹からの弓張山系)。

これらの頭痛は、現行の国際頭痛分類第二版(ICHD Ⅱ)では、その他の頭痛の【13.11.2冷たいものの摂取または冷気吸息による頭痛】と分類されています。原因は、明確ではありません。1)咽頭部付近の冷たい刺激を、冷たい感覚を痛いと間違って、咽頭部付近の場所をこめかみ、眼の奥、後頚部と間違って伝えるという考え方、2)冷たい刺激に対して体温を維持するために血管が拡張し、その結果頭痛が生じるという考え方があげられています。あまりピンときません。片頭痛患者の場合は、通常片頭痛の起こる部位に生じやすいなどの関連論文も散見されます。痛みは一瞬ですし、夏の楽しみ、そのような論文も見過ごしていいのではないでしょうか。次回は、鹿児島天文館の白熊で厳しい冷えた頭痛を味わってみたいと思います。

→【冷たいものの摂取または冷気吸息による頭痛】へ

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曹操と頭痛
2010/08/01

私は、学生時代に柔道をやりました。当時、夕方の練習の前に、吉川英治の三国志を読み耽っていました。魏の曹操、呉の孫権、蜀の劉備らの群雄の物語で、最近は映画でレッドクリフがヒットしました。いくさの大胆な勝ち方や逆に信じられないほどの負けっぷりから曹操の物語としてとらえている人もいます。吉川英治の三国志は、もちろん小説です。その中で、曹操は晩年、頭痛・嘔気に悩まされ、医師の華陀によって脳袋の腫瘍と診断され、手術をすすめられています。CTもMRも手術用の顕微鏡もない時代に、華陀はどのような手術を考えたのでしょうか。結局、小説では曹操が、華陀の手術の話に激怒し、手術は行われませんでした。


 青森ねぶた祭り 曹操と周瑜

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