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経口トリプタン製剤について
2010/02/01

日本で使用可能な5種類のトリプタン製剤があります。
スマトリプタン(イミグラン)は、錠剤のほかに、点鼻薬、注射薬と自己注射が可能な注射薬の4種類があります。
ゾルミトリプタン(ゾーミック)とリザトリプタン(マクサルト)は、錠剤の他に水無しでも内服できる口腔剤があります。エレトリプタン(レルパックス)とナラトリプタン(アマージ)は錠剤のみとなっています。
このようにトリプタン製剤は、国内で5種類10製剤が販売されています、トリプタン製剤といっても、各々が同じというわけではありません。効果が強いものや弱いもの、副作用が強いものや弱いものなど様々です。また口腔錠も、ゾーミックはオレンジ味で携帯が便利です、マクサルトはミント味です。当院では患者様のニーズにあわせ、5種類9製剤を準備しています(現時点でゾーミック錠剤のみ常備していません)。
ここでは、経口トリプタン製剤について各々の特徴を示します。尚、詳細は薬剤の添付文書を参照してください。

【用量・用法について】

一般名 スマトリプタン エレトリプタン ゾルミトリプタン リザトリプタン ナラトリプタン
商品名 イミグラン レルパックス ゾーミック マクサルト アマージ
製品量50mg20mg2.5mg10mg2.5mg
海外製剤との比較(量)2分の12分の1同じ同じ同じ
剤型錠剤錠剤錠剤/口腔錠錠剤/口腔錠錠剤
初回投与量1錠1錠1錠1錠1錠
追加投与量1錠1錠1錠1錠1錠
追加投与間隔2時間以上2時間以上2時間以上2時間以上4時間以上
1回最大投与量2錠2錠2錠1錠1錠
1日最大投与量4錠2錠4錠2錠2錠

(頭痛診療ハンドブック 鈴木則宏教授編集 中外医学社を改変)

スマトリプタンは、国内で最初に発売されたトリプタン製剤で、第一世代のトリプタン製剤という印象があり、エレトリプタン、ゾルミトリプタン、リザトリプタンの3製剤は第二世代、ナラトリプタンは第三世代とでもいうべき印象です。
この中で、スマトリプタンとエレトリプタンの2剤は、海外の半分の量で販売されています。日本国内の試験で、薬剤の量が決定され、海外量の半分量とされる薬剤があります。
一日に内服可能な量や追加投与までの時間が異なり、薬剤によって十分な注意が必要です。

【薬物動態について(薬剤の添付文書より)】

一般名 スマトリプタン エレトリプタン ゾルミトリプタン リザトリプタン ナラトリプタン
商品名 イミグラン レルパックス ゾーミック マクサルト アマージ
製品量50mg20mg2.5mg10mg2.5mg
用法・用量 成人1回50mg、
1日200mg以内

50mgで効果
不十分の時、
次回より100mg
投与可

追加投与間隔
2時間以上
成人1回20mg、
1日40mg以内

20mgで効果
不十分の時、
次回より40mg
投与可

追加投与間隔
2時間以上
成人1回2.5mg、
1日10mg以内

2.5mgで効果
不十分の時、
次回より5mg
投与可

追加投与間隔
2時間以上
成人1回10mg、
1日20mg以内

追加投与間隔
2時間以上
成人1回2.5mg、
1日5mg以内

追加投与間隔
4時間以上
最高血中濃度
到達時間(時間)
1.81錠3.00 RM2.98錠1.0 RPD1.32.68
血中半減期
(時間)
2.23.2錠2.40 RM2.90錠1.6 RPD1.75.05
脂溶性××
代謝酵素MAO-ACYP3A4CYP1A2
MAO-A
MAO-ACYP1A2など
複数のCYP
分子種

最高血中濃度到達時間が短いものは、短時間で効果が出ることが予想され、また血中半減期の長いものは、持続時間が長いことが予想されます。ナラトリプタンなどは血中半減期が他の4剤と比較して長く、追加投与する場合は4時間あける必要があります。

【片頭痛におけるトリプタン製剤の効果と副作用 53文献の分析から (Ferrari MDらによる報告) 】

一般名 スマトリプタン エレトリプタン ゾルミトリプタン リザトリプタン ナラトリプタン
商品名 イミグラン レルパックス ゾーミック マクサルト アマージ
製品量50mg20mg2.5mg10mg2.5mg
2時間後
頭痛改善率(%)
62.748.963.568.648.6
2時間後
頭痛消失率(%)
28.716.429.140.122.4
24時間後の
継続頭痛消失率(%)
19.810.61925.315.9
2-24時間以内の
再発率(%)
27.828.430.336.921.4
副作用(%)7.81.915.913.52.4
中枢神経領域の
副作用(%)
3.72.69.99.41.9
胸部の副作用(%)1.9-0.321.50.4



これは、Ferrari MDらによる論文のデータを表とグラフとして示しました。各々の比較試験ではありませんので注意が必要です。各々のトリプタン製剤の傾向は理解できます。マクサルトやゾーミックは、比較的効果が高いのですが、その分、副作用も多いようです。イミグランは中間に位置します。レルパックスやアマージは、効果は若干劣るようですが、副作用は少ないようです。レルパックスは海外量の半分量であることがその理由と考えられます。アマージは、いわゆるジェントルトリプタンとしての意味合いが強いと考えられます。アマージは半減期が長いため、24時間以内の再発率は低いという傾向があります。

【各々の副作用について】

これは、各製品の添付文書から副作用を抜粋し表にしています。(一部内容を変更しています。)

一般名 スマトリプタン エレトリプタン ゾルミトリプタン リザトリプタン ナラトリプタン
商品名 イミグラン レルパックス ゾーミック マクサルト アマージ
製品量50mg20mg2.5mg10mg2.5mg
悪心・嘔吐 3.7%
痛み 2.6%
眠気 2.6%
倦怠感 1.8%
動悸 1.4%
めまい 1.3%
圧迫感 1.1%
めまい 4.1%
眠気 4.1%
嘔気3.3%
口内乾燥感 2.6%
疲労 2.5%
無力症 3.5%
絞扼感 3.5%
眠気 3.0%
めまい 2.6%
異常感覚 2.6%
眠気 7.7%
倦怠感 2.9%
めまい 2.2%
口渇 1.8%
脱力 1.5%
悪心 1.1%
感覚減退 1.1%
悪心 3.8%
嘔吐 2.3%
痛み 1.9%

各々の薬剤からの添付文書から、副作用をみてみますと、頻度に差がありますが、眠気、脱力感、めまいなどの似通った副作用があります。

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リザトリプタン半量投与の有効性
2010/08/01

リザトリプタン(マクサルト)は、1錠10mgです。
片頭痛発作にとても有効な薬剤です。しかし、効果はあっても、眠くなる、めまい、だるいなどの副作用が出現することがあります。

【ケース1】

患者様にリザトリプタン1錠10mgを投与しましたところ、効果があるけれども、副作用が強く、副作用の比較的弱いトリプタン製剤のレルパックスに変更しました。しかし、副作用は少ないのですが、効果の満足度は低いという結果でした。次にリザトリプタン半分量0.5錠(5mg)をお渡ししたところ、効果もあり、副作用もなく高い満足度が得られました。

【ケース2】

患者様には、リザトリプタン1錠10mgを投与しましたところ、効果があるけれども、副作用が強くて、自分で半分にして飲む工夫をされていました。

このような経験から、リザトリプタン(マクサルト)1錠10mgで加療し、効果があるが、副作用は強い患者様には、リザトリプタン0.5錠5mgを試していただいています。リザトリプタン0.5錠5mgで効果があり、副作用もなければ、高価なトリプタン製剤が半額ですむという経済的なメリットも生まれています。但し、経済的な理由から、0.5錠を投与することは差し控えています。

次に、これまでの公表されているデータから、リザトリプタン5mg投与と10mg投与との比較を示します。
海外のデータでは、5mgと10mgでは、効果や再発率などに差がみられ、効果の面から、10mg投与の有意性が示されています。一方、日本でのデータでは、5mg投与と10mg投与とでの差はほとんどみられません。この二つの報告を単純比較するわけにはいきませんが、日本での5mg投与のデータは、海外での10mg投与のデータに類似します。日本人は欧米人に比較すると体格も小さく、体重当たりの投与量を考えると、欧米での10mg投与が、日本人では5mg投与に近似するのかもしれません。



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スマトリプタン製剤(イミグラン)について
2010/04/01

スマトリプタン(イミグラン)は、最初に発売されたトリプタン製剤です。現在のトリプタン製剤の基本となっています。
スマトリプタン(イミグラン)は、錠剤のほかに、点鼻薬、注射薬と自己注射が可能な注射薬の4種類の製剤があり、患者様の症状や状態に応じていろいろな使用方法ができます。他のトリプタン製剤にはない注射薬と点鼻薬を備えている点が特徴です。
各々の特徴について表示します。

一般名 スマトリプタン
コハク酸塩錠
スマトリプタン
点鼻液
スマトリプタン
コハク酸塩注射液
商品名 イミグラン錠50 イミグラン点鼻液20 イミグランキット
皮下注3mg
製品量 50mg 20mg 3mg(0.5ml)
剤型 錠剤
点鼻液
注射製剤
初回投与量 1錠 1容器 1A
追加投与量 1錠 1容器 1A
追加投与間隔 2時間以上 2時間以上 1時間以上
1回最大投与量 2錠 1容器 1A
1日最大投与量 4錠 2容器 2A
最高血中濃度
到達時間(時間)
1.8 1.3 0.18
血中半減期
(時間)
2.2 1.87 1.71
投与後の
血漿中濃度
頭痛改善率
(10分)
頭痛改善率
(15分)
9
頭痛改善率
(20分)
51.5
頭痛改善率
(30分)
7.1 20 75.8
頭痛改善率
(60分)
33.8 35 93.9
頭痛改善率
(90分)
47
頭痛改善率
(120分)
42 55
頭痛改善率
(180分)
65.2
頭痛改善率
(240分)
71.4

イミグランの注射薬と自己注射が可能な注射薬は、投与後血漿中濃度もほぼ同様であり、ここでは病院で使用するイミグラン注射薬は省略しています。イミグランの注射薬は効果発現までの時間が最も短いことが特徴です。
注射薬の場合、10分程度で改善がみられ、投与後30分の頭痛改善率は、上の表の赤字で示すような歴然とした差がみられます。そして2008年に自己注射が可能なイミグラン皮下注キットが発売され、群発頭痛やこれまでの治療で十分な効果が得られなかった片頭痛などの患者様に対して、在宅で自己治療が可能となりました。
また、イミグラン点鼻液は、嘔気が強いため薬剤の内服加療ができない患者様に有効です。また、鼻腔粘膜から約15%が吸収されます。このため、内服薬と比較して早期に効果をあげることができます。
そして、もう一つの特徴として、各々の成分が同一のため、次のような使い方が可能です。

イミグランの投与方法 投与間隔
イミグラン錠50→イミグラン錠50またはイミグラン点鼻液20またはイミグラン注3 2時間以上あける
イミグラン点鼻液20→イミグラン錠50またはイミグラン点鼻液20またはイミグラン注3 2時間以上あける
イミグラン注3→イミグラン錠50またはイミグラン点鼻液20またはイミグラン注3 1時間以上あける

このような使い方をされる場合は十分な説明と理解が必要です。また、イミグラン製剤と他のトリプタン製剤との投与間隔は24時間以上あけることが必要です。

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