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■ステントグラフト内挿術について

腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術

血管外科部長 澤田健太郎

※各画像は、クリックすると拡大表示されます。

腹部大動脈瘤は腹部の大動脈が風船のように膨らんだ状態(こぶ:瘤)で、破裂した場合は致命的になる事が多い疾患です(図-1)。

通常は、腹部大動脈瘤は直径4~5cm以上になると破裂の危険性が高くなるため外科的治療(手術)が行われます。手術方法は従来の開腹による人工血管置換術と腹部を切開せずにカテーテルを使用するステントグラフト内挿術に大別されます。

ステントグラフト内挿術は比較的新しい治療法です。よってこの治療を安全に実施するため技術、経験などの面から10学会から構成されるステントグラフト実施基準管理委員会により施設や術者が認定されています。当院は平成21年2月10日に佐世保市では初めて腹部大動脈瘤ステントグラフト内挿術実施可能施設に承認され、この腹部大動脈瘤に対する新しい治療法であるステントグラフト治療を本格的に開始いたしました(図-2)。
これにより治療の選択肢が増え、より安全で低侵襲な医療を提供できると考えております。

ステントグラフト内挿術とは腹部を切開せずに人工血管を大動脈瘤部分の血管内へ挿入する手術です。使用する人工血管はステントグラフトと呼ばれ、ばね状の金属骨格(ステント)に人工血管(グラフト)を逢着したものです。現在、日本では3品目の製品が厚生労働省の承認を受けています(図-3)。

このステントグラフト内挿術は従来の開腹手術と比較してメスで切る部分が小さいため、患者さんの身体への負担が小さいことが最大の利点とされています。よって高齢者や併存疾患により開腹手術が困難な患者さんにより適しています(図-4)。

最近の治療症例をご紹介いたします(図-5)。

患者さんは、74歳の男性です。頻回の腹部手術の既往があり、胸部解離性大動脈瘤と慢性呼吸障害を併存していたために従来の開腹手術ではリスクが高いと判断し、ステントグラフト内挿術を選択・実施いたしました。術後1日目から食事を再開し、術後大きな合併症無く7日目に退院になりました。

このようにステントグラフト治療は患者さんに負担が小さい治療ですが、従来の人工血管置換術のように長期に渡る性能が確立されたものではありません。また、患者さんの個々の病態(動脈瘤の解剖学的形態など)によっては適応できない場合があり、すべての患者さんがこのステントグラフト内挿術が最適な治療法であるとはいえません。
ステントグラフト内挿術を選択するには、患者さんの個々の全身状態を評価・考慮した上で総合的な治療適応が求められることを予めご理解下さい。

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